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自家培養酵母について


くろうさぎの天然酵母

くろうさぎでは小麦やライ麦、様々な素材のもつ本来の味を生かすために、すべて自家培養の天然酵母を使用し、パンの特性によっていくつかの酵母を使い分けています。
 現在はレーズン種、酒種、サワー種、ルヴァン種の4種類をそれぞれのパンに合わせて使用しています。

◆レーズン種

元種づくり
中種づくり
本種づくり

オーガニックのレーズンに水を加え、発酵させて作ったエキス種に小麦粉を加えかけ継ぎ、約40時間かけて培養します。完成した種は使い切り、必要な分の種はエキス種から毎日新たに作っています。パンによって小麦全粒粉が20%、50%、100%の三種類の種を、小麦の風味を生かした砂糖や油脂の入らないパンを主に、クロワッサン、デニッシュなどにも使っています。酸味を抑え、酵母の菌体数を増やし、発酵力を強めた種作りに努めています。

酒種

酒種の元種づくり
酒種の中種と本種
酒種を使ったくろうさぎのパン

米と米麹と水から培養した天然酵母です。酒作りの技術をパン作りに生かしたもので、明治時代に日本で生まれた天然酵母です。安定性に欠けるため、現在ではほとんど使われず、酒種の使用を謳っているパンでも、殆どがイーストと併用されたものであったり、酒種風味料を加えたものであったり、その伝統も廃れようとしています。
 酒種の特徴として、焼きあがったパンに独特のしっとりした食感と、ほんのり甘い酒種の香りがすることなどがあります。糖度の高い生地でも発酵するため、菓子パンに適しています。酒種のパンとしてはあんぱんが有名ですが、くろうさぎではクグロフやスイート生地、バター折込生地等にも使い、伝統にとらわれることなく、酒種の新たな可能性を広げています。

◆サワー種

酵母菌と乳酸菌を培養した伝統的な天然酵母です。パン用酵母菌が単一の菌に属しているのに対し、乳酸菌は糖を発酵させその生成物の50%以上の乳酸を作り出す沢山の菌種の総称です。主に乳酸を生成するタイプの菌と、乳酸と共に酢酸を生成するタイプの菌があり、原料、種継ぎ方法、生育環境(温度や給水)等の変化によって繁殖する菌も異なってきます。
 くろうさぎでは、乳酸と酢酸の割合が7対3になるイメージで毎日種を管理、調整しています。
 ライ麦をつかったパン(ライ100、ベルリーナ・ラントブロート)にはライ麦から起したライサワー種、全粒粉のパン(コンプレ100)には小麦全粒粉から起こした全粒サワー種の二種類を使っています。

ルヴァン

Coming soon…

天然酵母とイースト

「酵母」は穀物や果実の表面等に生息し、糖分を分解しアルコールと炭酸ガスを生成する働きをもっています。ワインやビール等酒作りから味噌、醤油、パン作りに至るまで、人間は昔からその働きを利用して、食生活をより豊かにしてきました。
  酵母は自然界に広く生存する生き物であり、人工的に作り出されたたものではありません。パン作りにおける天然酵母もイーストもその点では変わりはなく、違いを挙げれば「天然酵母」が酵母以外の多くの細菌類と共存しているのに対し、「イースト」は工業的に単一のパン用酵母菌種を純粋培養したものといえます。ですから「イースト」は酵母の菌体数が多く、発酵力、膨張力にすぐれています。「天然酵母」は酵母以外の細菌類が作り出す有機酸(乳酸・酢酸・クエン酸・酪酸等)や、芳香性のアルコール類が、イーストには無い独特の風味や香りを生み出し、パンに深い味わいを与えています。

1850年代に「イースト」が発明され、徐々に使用が増え、高たんぱくの小麦粉、多量のイーストを使った発酵の短い白いパンが大量に作られるようになりました。しかし現在は、消費者の食生活の見直しや多様化などにより、イーストを少量に抑えた、長時間発酵のハード系パンや、天然酵母のパンも多く求められるようになりました。
 「天然酵母」と一口に言っても沢山の種類や特徴があります。
 先に挙げた伝統的な継ぎ種による天然酵母種、レーズンやりんごから起こした果実種、じゃがいもやホップを使ったホップ種、米と麹から起こした酒種等、自家培養の天然酵母から、市販されている安定性があって簡便な天然酵母まで、種々様々です。